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最高裁判所大法廷 昭和36年(ク)22号 決定 1961年12月13日

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告代理人古田進の抗告理由について。

浪費者であることを理由として準禁治産を宣告する制度を設けた趣旨は、浪費者が思慮なくその資産を浪費することを防止し、もつて浪費者の財産を保護するにあるから、右の制度は、憲法一三条および二九条の趣旨と抵触するものでないことはいうまでもなく、また、浪費者であることを理由として準禁治産の宣告を受けた者も、その原因が止んだときは、民法一三条、一〇条により、家庭裁判所は、本人その他民法七条所掲の者の請求によりその宣告を取消すことを要するものであり、本人が浪費者でなくなつたことは、本人の日常の行動その他具体的事実により十分これを判断できるのであるから、その行為能力の回復が法律上保障されているのであつて、その保障がないとの見解を前提として、この制度の違憲を論ずるは、当を得ない。

論旨は採用できない。

よつて、本件抗告を理由なきものとして棄却し、抗告費用は抗告人の負担とすべきものとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 横田喜三郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 河村又介 裁判官 入江俊郎 裁判官 池田克 裁判官 垂水克己 裁判官 河村大助 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 奥野健一 裁判官 高橋潔 裁判官 高木常七 裁判官 石坂修一 裁判官 山田作之助 裁判官 五鬼上堅磐)

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